伊藤代表×大﨑一貴インタビュー｜大﨑『前回みたいに僕が倒してKOで勝って決勝に行く』
インタビュー 2023年8月23日
来る8月26日（土）『ABEMA presents RISE WORLD SERIES 2023 2nd Round』大田区総合体育館大会に参戦する大﨑一貴選手とRISE伊藤隆代表の対談を行いましたのでお知らせします。
伊藤『戦ってて恐さを伝えられる、良い意味で昭和のファイター』
大﨑『前回みたいに僕が倒してKOで勝って決勝に行く』
–改めて前回の試合を振り返って伊藤代表どうでしたか？
伊藤 今年もうかなり試合をやってて、やっぱり「大﨑一貴」っていうスタイルが完成されてますよね。ローとボディで崩して上に行くっていうスタイルなので皆そこで対策を練るんですけど、やっぱり完成されてるんで対策練っても当たるんですよね。それが本当の技術ですよ。彼はその完成されたスタイルが出来てるんですよ。これは対策練られても倒せる、本物の技術を持ってるんじゃないかな。
–前回の試合にピックアップするとどんな試合感想ですか？
伊藤 前回相手がタフだった部分はあったけど、やっぱり安心して見てられます。自分のスタイルを貫き通せるというか、相手がどんな攻撃してもスタイルをずっと貫き通して仕留めるというのが強みじゃないですか。
–伊藤代表としてはやっぱり上がってきたなという感じですか？
伊藤 うん、上がってきたなって思います。
–大﨑選手はご自身で振り返って前回の試合どうでしたか？
大﨑 勢いのある選手っていうのは聞いてたんですけど、予想よりも最初にガーっと来て、意外とパンチとかも重いなっていう印象でした。最初はパンチで倒したかったんですけど、なかなか倒し切るまで行かなくて、セコンドからカーフもっと蹴っていけって声もあってカーフ蹴ったら効いたのがわかったので、カーフでダウン取ってもう一回顔狙ったんですけど、やっぱり倒せなくて、2ラウンド目で決めました。
–自分の中では前回の試合の満足度はどれくらいですか？
大﨑 正直勝てるって言われた相手だったので、倒し方があんまり良くなかったというか狙ってた技で倒せなかったので、満足度で言ったらそんなです。自分の中ではよくない試合でした。
–今のコメントを聞いて伊藤代表いかがですか？
伊藤 まだ10代で若い選手だったけど、相手の根性がありましたよね。油断はしてなかったと思けど、普段効かせる攻撃でも返してきたのでそこでちょっと動揺した部分はあったと思うんですよ。でもちゃんと2ラウンドで仕切り直してたのでそこまで問題なかったんじゃないかな。
–そういう意味でもWORLD SERIESは対戦相手も大﨑選手にそういう風にさせるちゃんと強い相手という事ですか？
伊藤 もちろん。厳選して世界のプロモーターたちにも強いやつを用意してくれと。日本人が勝つのがもちろん嬉しいですけど、僕は強い奴が勝てば良いと思ってるので。WORLD SERIESに相応しいメンツが揃いました。
–その中でも大﨑選手はやっぱり優勝候補ですか？
伊藤 53kgではずっと勝ってて相手もいない状況なので、それをさらに証明するためにも優勝すれば間違い無いです。
–大﨑選手は他のトーナメントの試合は見ていますか？
大﨑 志朗選手の試合は自分の試合が終わってから見て、あとは映像で見ました。
–試合前に田丸選手が声かけに来たと言ってましたが。
大﨑 僕のひとつ前の試合ですごい良い勝ち方して、試合終わってからすぐ舞台袖まで来てくれて「次絶対やりましょう」って声かけてもらいました。それもあって、田丸選手が1ラウンドで倒したので僕も1ラウンドで行きたかったんですけど、そこは田丸選手の方が強かったです。
–声かけてきた時はどう思いましたか？
大﨑 嬉しかったのもありますし気合い入りました。すごい良い勝ち方して、その前の試合もすごい強くなってたので今回もどう勝つかなって。上がってくるとは思ってましたけど、勝ち方がすごかったですね。
–以前対戦したことはありますが実際田丸選手の試合を見てどう思いましたか？
大﨑 より攻撃的になった。倒せる力がついてる印象です。
–次の試合は日本人対決で本当に注目の試合ですが改めてどうですか？
伊藤 非常に面白いんじゃないですか。対照的な二人でパワーの大﨑一貴、スピードの田丸辰なので、予想がつかないです。今までだったら大﨑有利でしたけど、前回の田丸の勝利でわからなくなったと思うんですよ。田丸も距離を取って詰められないようにスピードで対応していくと思うので、そこを大﨑が詰められるか。詰めたら彼は間違いなく本当に強いので、そこに持っていけるまでの過程だと思います。そういうところが非常に見所です。
–大﨑選手は前にも田丸選手と対戦したことがありますけど、田丸選手が変わってきてると思うので改めて対策とはかどう考えてますか？
大﨑 会長にもしっかり作戦立ててもらってミットとかスパーリングとかもやって、試合に向けて調整してるので、それを出して絶対勝つだけです。
–試合前会見の時とか田丸選手は眼中にないような空気があったと思いますが、その中で田丸選手と大﨑選手が上がってきてちょっと今比率がわからなくなってきましたよね。
伊藤 あれは本人悔しかったと思います。だからこそ見せてやるって感じで今回こういう形になったので。前回の結果を踏まえると7：3だったのがほぼ5：5じゃないですか？
–そういう気持ち的な部分は感じたりしますか？
大﨑 でも元々強い選手で舐めたりしてなくて、組み合わせが発表されて田丸選手が上がってくるなって思ってたので、一回戦の時はしっかり相手に集中して、今回は田丸選手なのでしっかり田丸選手に集中して、一つ一つ勝って優勝するっていうだけです。強いのは一回やって分かっているので、全然舐めてないです。
–改めて大﨑選手はずっと連勝していてRISEに参戦してからどんな選手という印象を持っていますか？
伊藤 怪我もあって一時期止まってた時期もありましたけど、そこからが本当すごいですよ。53kgの象徴という立ち位置にもなってるし、53kgもどんどん強い選手もいっぱい出てきているのでそういう選手たちとどんな戦いを見せてくれるのかというのもありますし、ここで優勝するしないはかなりの差です。ここで優勝すれば国内だけじゃなく世界からもマークされるだろうし、ある意味ここは「世界最強」の称号を獲るための戦いですね。
–ここ最近勝ち方もすごいですけど、それは1選手としてやっぱり難しいことなんですか？
伊藤 常に勝ち続けるのはモチベーションも怪我もありますし、やっぱりいろいろな状況がある中でそれに打ち勝っていかなきゃいけないので、それをキープしていくのは非常に難しいと思います。全部ほぼ決まったスタイルで倒してるんですよ。完成されたスタイルを作り上げているので本当に練習してるんだなって伝わってきます。攻撃の一つ一つが本物っていうことですよね。だから対策練っても対策しきれない。
–精神面というかメンタルが崩れないイメージがあるんですがそれは伊藤代表はどう思いますか？
伊藤 メンタル面強いんじゃないですか？色んな状況があっても最終的には自分の勝ちに持っていけるんで。もちろんセコンド陣のパワーっていうのもありますけど。普段すごい静かな子でどっちかっていうと見た目は小動物なのに、試合になると豹変しちゃう。このギャップで女性ファン多いんじゃないですか。
大﨑 そんなことないです(笑)。弟（孔稀）の方が多いです。
–それこそ今って色んなファイターがいる中で、ある意味で違うギャップがある？
伊藤 良い意味で昭和の匂いがするんですよ、戦い方も型にはまってて、今時じゃなくて良い意味での昭和の匂いがするファイター。一つの技を磨いてそれで戦うというか。
–昭和の匂いっていうと今の子達はどっちかというと器用ですよね。
伊藤 そうですね、器用でテクニックを詰め込んでやりますけど、そこで魅せられるかとか恐さを伝えられるかっていうのはなかなかない。彼の場合は戦ってて恐さを伝えられる。「強いな」って見てる人に純粋に思わせることができる良い意味での昭和のファイターです。
–どうですか？
大﨑 ありがたいです。すっごい嬉しいですね。自分でも器用じゃないので、対策もそうですけど会長とかに言われたことをとりあえずできるまでやるっていう練習なので。いきなりパッていう風に出来るタイプじゃなくて、本当に練習して練習してって感じなので今も次の田丸選手に向けてそれを作り上げてます。
–今のファイターってSNSも含め結構喋れる人が多いですがそういう部分ではどう見ますか？
大﨑 すごいなぁって。僕はそんなに喋れないので(笑)、本当にRISEさんに出させてもらってこういう機会を頂いて、少しは喋れるようにはなったかなと思うけどそれでも全然。いろんなファイターはみんなSNSとか発信して会見とかでもすごい喋るので、それに比べたら全然ですけど、本当にそういう部分でも成長させてもらいました。
–昭和のファイターだったらいらないですよね？
伊藤 今の流れでみんなが喋ってザワザワするんじゃなくて、大﨑一貴は試合で魅せれるので、重い一言二言を喋れるようになれば良いんじゃないですか。それの方が彼の良さが光る。もしこれで喋れるようになっちゃったら逆にそっちに力使いすぎちゃって違うんじゃないですか。重みのある一言二言をズバッと言えればかっこいいと思います。
大﨑 言えるように頑張ります(笑)。
–じゃあ喋りの方はそんなに出来なくても？
伊藤 でも重みのある一言をね(笑)。そこが重要です。喋らないんじゃなくて重みのある一言二言を喋ったら最高です。
–でも大﨑選手はやってきたこととか始めたきっかけも含めてずっと思いを感じるというか、それはすごい伝わると思います。
伊藤 試合でそれを必ず表現できるので、ファイターで一番大切なのはそこですよ。いくら会見や事前に盛り上げても試合がダメだったら意味がない。一番試合で魅せられるのがファイターの仕事で、そこから付加価値で何が出来るかなので、一番重要なことが出来てると思います。
–大﨑選手の中では自分の性格やキャラクターもあると思いますが、やっぱり試合で自分の思いや意志を見せたいと言うのはありますか？
大﨑 とりあえず試合に勝ちたいっていうのがあって、やっぱり勝たないと喋ったりする機会もないですし、まず試合で勝って、勝った姿を応援してくれる人だったり初めて格闘技観る方もいるかもしれないので、そういう方々に知ってもらうことからですね。まず勝たないといけない。
–RISEを選んだ理由って何があるんですか？
大﨑 国内でもすごい大きい団体で入場とかもそうですけど豪華で華やかな舞台で、強い選手も集まるのでそこで一番になりたいっていうのがあったのでRISEに来ました。どんどん強い選手も当ててくださいますし、自分もどんどん強くなっていけるので、本当にありがたいです。
–こういう機会もなかなかないので何か伊藤代表にお聞きしたいこととかありますか？
大﨑 RISEの名古屋大会をやってほしいです。あと今回トーナメント優勝したら53kgの世界ベルトを作って欲しいです。
伊藤 まず53kgの世界戦は優勝したらやってもらいます。大﨑一貴は過程を踏んでるので優勝したら間違いなく来年くらいにやりたいです。名古屋大会やりたいですよね。そのためには彼が優勝しないと。やっぱり主役になってもらわなきゃいけないので。
–名古屋大会いいですね。
伊藤 ちょうど東京と大阪の中間地点ですし名古屋にもいい選手がたくさんいる。結構前から聞いてるんですけど、これはやっぱり優勝するのが二つを取る切符かな。
大﨑 まず僕が優勝しないとですね。絶対優勝します。
–こういう意見が聞けるのはいいですね。
伊藤 彼は前から言いたいことは変わってないんですよ。ずっと人伝に聞いたりSNSで見てるので、それなりの内容で勝ってくれたら我々も実現しなきゃいけないという気持ちになりますよね。
–世界のベルトを作って欲しいって気持ちはもちろんわかるんですけど、名古屋で大会をやりたい理由は何があるんですか？
大﨑 やっぱり地元でもありますし、東京とか大阪だとちょっと距離があってなかなか来れないっていう方も多いので、地元名古屋でやってもらって。ここのジムもそうですけど他のジムにも本当に強い選手たくさんいるので、そういった選手を呼んで名古屋のお客さんをいっぱい呼んで、地元の名古屋で格闘技をもっとたくさんの人に知ってもらいたい思いがあります。
伊藤 じゃあこうしましょう。優勝したら名古屋大会で世界タイトルマッチが一番良いよね？
大﨑 そうですね！
伊藤 あれ？余計なこと言っちゃった(笑)。でもそれくらいの気持ちでやった方が面白いし、うちらもやりがいがあるので。凱旋みたいなね。
–夢がありますね、地元でやってる人もこういう風になりたいって。
大﨑 実現できるように頑張ります。
伊藤 楽しみです。
–伊藤代表から大﨑選手に聞きたいことはありますか？
伊藤 彼の試合をずっと見てきてますけどやっぱり53kgって小さい階級じゃないですか。何でこんなにパワーがあるのかなって。
大﨑 ちっちゃい頃からの空手の練習が一番大きいです。
伊藤 やっぱりローキックやボディというのは反復練習？
大﨑 サンドバックとかで会長がこれやれって言ったことをやる。
伊藤 身体に染み付かせてってこと？
大﨑 そうですね。
伊藤 色んなやつとやってきてると思うけど例えば相手がローを警戒したりするわけでしょ。それでも当てられるっていうのはやっぱり詰め方だったりロープを背負わせてからのKOとか。
大﨑 詰めて、どの攻撃を当てるか。
伊藤 逃げる場所をなくしてね。弟（孔稀）もすごいですけど本当にパワーがありますからね。THE MATCHで合宿やったんですけど、僕は孔稀のミットを持って一貴のミットは持ってなかったんですけど、みんなボディがやばいって言ってました。
–やっぱり先ほども地道な練習がと言ってましたが。
伊藤 子供の時から空手もやってずっと積み重ねじゃないですか。継続で培ったパワーだと思うし、何回もやってるうちに当て感も「ここ当てれば倒れる」って感覚も掴んでるだろうし、キャリアと同時に戦い方、自分の責め方といろんなパターンを持ってると思うんですよ。引き出しもいっぱいあるだろうし。
–色んな選手がいると思うんですけど「大﨑選手みたいになりたい」って言われた時にどうアドバイスしますか？
大﨑 教えてもらったことを一生懸命やるだけですね。先生にこれやれって言われたことをどれだけ続けてやれるかですね。
伊藤 要するに反復ってことだよね。
大﨑 本当に基礎はすごい大事です。今の子は上手なんで色々やったりするけど、それも良いと思いますけど、パワーつけるためにサンドバック打ち込みやったりとかシャドーでフォーム確認したりとか、インパクトの作り方とか、他にもすごい大事なこといっぱいあるので、そういうのってつまらないですけど絶対やった方が後々自分の物になる。
伊藤 反復運動って地味だからみんなやりたがらないんですよ。でも一番基本で大切なことですよね。今は映像でもSNSでも技術を見れるのでみんな派手な技をやりたがるけど、基本が出来てるからこそ派手な技が出来るので、みんなそこを大切にやれば良くなるけど、結構今の子は嫌がりますよね。
大﨑 そうですね。
伊藤 結構辛いので。でもそれこそ基本ですよね。
–改めて次の試合の自分の見どころを聞かせてもらっても良いですか？
大﨑 田丸選手はスピードもあって前回戦った時よりもより攻撃的で倒せる武器も身につけてますけど、前回みたいに僕が倒してKOで勝って決勝に行くので、そこを楽しみにしてほしいです。
–決勝はさらに今年ですよね？
伊藤 そうですね、一貴が上がって志朗かクマンドーイどちらが上がるかわからないですけど、どちらが上がっても面白いと思いますよ。パワーのクマンドーイ、テクニックの志朗。それでも自分のファイトスタイルを貫けるかっていうのもあるし、非常に興味深いですね。実力が拮抗してるし今回のトーナメントは誰が勝ってもおかしくないと思います。