安彦考真インタビュー『YA-MAN選手と朝倉未来選手が注目されてますけど、アンダーカードに爆裂キャラがいるんですよ。見といてください。』
インタビュー 2023年11月13日
来る11月19日(日)に開催します『FIGHT CLUB』にて、前口太尊(飯伏プロレス研究所)と対戦する安彦考真(Y.S.C.C.キックボクシングチーム)の試合前インタビューをお届けします。
–45歳のムチお疲れ様でした。
安彦 もう本当にいじめです(笑)。
–自分で自分をいじめ抜いてる感じですか?
安彦 もうSとMが共存してる感じなんでどっちか一体分からなくなってますけど、でも不安とかが出てくる部分をかき消すのは追い込みだし、やったことしか身にならないので、そういう意味では徹底的にもう一人の自分が自分を追い込むしか方法はないなと思ってます。
–今回はフリーになっての第1戦でこの公開練習はTARGETが舞台ですが最近はTARGETで練習することが多いですか?
安彦 週2はやらせていただいてて今週は週3やらせていただきたいとお願いをしています。フリーになって一番キツイのが仲間と練習出来なかったり、さっきのビッグミットみたいに声を貰ったりとかが少なくなってしまうので、そういう意味ではTARGETに来させてもらって多くの仲間ができて色んな声を貰ったり、皆さんめちゃめちゃ人が良くて、僕みたいな人を普通に受け入れてくれて、かと言って手を抜くわけでもなくしっかりと正面から向かい合ってくれるので、本当にこの場に来れて良かったです。
–以前と比べて練習メニュー的には違いはありますか?
安彦 TARGETに来させてもらって、10人以上の選手と毎回マススパーとか練習をやってその都度アドバイスをくれるので、いろんなタイプの選手がいろんな角度で情報をくれるのは間違いなく今の僕には適してます。それを素人から始めたら難しかったかもしれないですけど、2年以上経験を重ねてある程度ベースが出来た中での新しい情報は、自分がどうやって取捨選択するかだけなので、本当にありがたい情報がここには渦巻いてます。
–先日記者会見も出席されて結構緊張感を伴った会見だったと思いますがいかがでしたか?
安彦 もう手汗もすごかったですし久々に緊張しました。ただ場所的なところで言うと最初のFIGHT CLUBの控室がすごい小さくて、控室入ったらいきなり山口兄弟がいて、僕はスタッフと間違えられて挨拶されたんですけど「俺も出るんだよ」っていう話をしていたあの時の方がどっちかというと殺伐とした感じはあったかなと思います。でもやっぱり「目指せYA-MAN」ということを僕は公言しているので、その張本人や山口兄弟や名だたる選手がいる中で、自分があの空間に立てるっていうのはいい緊張感とワクワクがありました。
–今も話に出たYA-MAN選手ですが前半戦出場選手に「もっと面白いこと言ってくれ」とキツイことを言ってましたけどあの言葉を聞いてどんなことを思いましたか?
安彦 いやもう僕もそう思いましたよ。僕以外の人がっていうことで(笑)。僕が人を煽ったりする立ち位置でもないので、他の選手がそういう風にすればいいなって。ただ前口太尊選手がもうちょっといい煽りをしてくれるとね。やっぱり煽りで言えば相内選手のほうが勝ってたなという感じもあるので、彼がもう少し突っ込んできてくれたりすると僕も言いようもあったんですけど。とはいえ僕は僕のキャラで行くしかないというか僕が伝えたいことはぶれずに自分らしさを出せたんじゃないかな。
–その前口選手は「プロレスラーは強い」ということを前面に押し出して戦うと宣言してましたけど、あの発言を受けてどうでしたか?
安彦 「サッカー選手も強いんだぞ」って言ってやりたいなとは思いますけど、でも彼は現役のプロレスラーで僕は現役のキックボクサーなので、そこのプロレスラーは強いんだぞっていう言い方はちょっと違うかな。キックボクサーとして結局リングに上がるのでプロレスするわけじゃないんでね。彼のキックボクサー人生、何十戦もやられてますしもちろんそこには僕もリスペクトは持っていて、現役退いてた中でこのタイミングで復帰して僕としては素晴らしい対戦相手で楽しいんですけど、彼がそれ相応の戦いをするのか、それだけの能力が残ってるのかというところはちゃんと見極めたいですし、これで負けるとプロレスラーは全員が弱いってことになっちゃうんで、変に背負い過ぎないほうがいいんじゃないかなと思います。
–オープンフィンガーグローブ(以下OFG)のキャリアは安彦選手の方がありますよね。
安彦 2戦目ですけど(笑)。
–でも1戦やってたらだいぶ違うんじゃないですか?
安彦 指先が出てると出てないでパワーの出し方とかセンサーのあり方が違うので、やっぱり指で何かを触れるっていうのが自分の強みというかそれがセンサーになるんですよ。なのでOFGの方が気持ち良いというか自分なりにストレスのない状態で戦えますし、あとグローブの大きさも違うから距離感もあると思うので、そういう意味では優位に立てている気がします。
–フェイスオフの時に見たら安彦選手の方が身長は高かったですね。
安彦 リーチの差もあると思うので結構差があるかなと。自分が持ってる身体能力はどうやってその都度そこで生かすか、その身体能力って結局対戦相手によって変わるので、自分がいいと思ってもそれ以上の相手が来たら意味ないですから。じゃあ自分の今の身体能力、生まれながら持ってるものが対戦相手によって変わってくる、それをどうやって活かせるかっていうのが一つポイントです。
–基本的なことを伺いたいんですが、まずこのリングもしくは格闘家で目指す目標は何なのでしょうか?
安彦 何のために格闘技やってるかっていうとすごくベタなんですけど、とにかく僕は勇気を与えたいです。年齢なんて関係なくて40歳からJリーガー目指して43歳から格闘家に転身して44歳でプロのリングに立って今45歳です。20代も30代もそうですけど年齢を言い訳にして前に進めない大人が増えてきてしまってるので、そんな日本が僕はつまらないなと。何歳になっても勝負できるのと、俺が思い切りやる姿を見てもらうのが非常に大事だなと思うので、僕がリングに立っている理由は勇気一つですね。とにかくそれを与えたいというか届けたいです。見てる人に「いつ何時何があっても今が一番若いんだ」ということを届けたい。何だって始めていい、自分が思ってることをスタートしていいんだっていう思いをしっかり伝えていきたいです。
–例えば目に見えるもの、ベルトとかは目標としてあるんですか?
安彦 正直ベルトとかはないです。勝った時にもらえるトロフィーだけで十分僕は嬉しいので。幸せの一つでもありますけどベルトっていうのは目指してないです。ただ僕も競技者なのでランキングや「あいつ強いな」っていう評価は、気にはなります。自分の立ち位置がどれだけのものか。「あいつは未だに色モノなのか」とか「茶番なのか」って言われるのはやっぱり嫌なので、本物の格闘家としてそういうところに名を連ねるというのは興味ありますけど、優先順位の一番二番ではないです。ベルトに興味がないって言ったら嘘にはなります。他者からの格闘家としての目に見える評価としてやっぱり獲りに行きたいな、自分もそういうところで勝負したいなっていう思いは競技者として残ってます。
–YA-MAN選手と対戦したいというのはどういう気持ちなんですか?
安彦 YA-MAN選手の戦い方とか成り上がり方というか持ってるバックボーン、今シングルマザーの人たちを招待したり、そういう社会に対して実は貢献している力を格闘技で使ってるじゃないですか。格闘技というかスポーツの良さはそこなので、何か社会に貢献できること、ただ自分が気持ちいいとか自分が成り上がりたいだけじゃなくて、それが誰かの役に立ってるってことがすごく大事だなと思った時に、めちゃくちゃシンプルに分かりやすいメッセージを発信してるので、格闘技のあり方の一つ、武士道の道というところのあり方の一つに僕はリスペクトをしてるので、彼と思いっきり勝負したい。僕も元々不登校だったり発達障害の子と関わる仕事をしてたので、そういう子たちが何か一歩踏み出して社会に復帰する、社会で輝けるチャンスを僕も与えたいと思うんで、彼とバチバチにやりあったら、社会に意義のある格闘技もしくはRISEが目指してる青少年育成だったり子供達に向けて思いっきり表現できるんじゃないかなという意味で、僕の中で一応「聖地YA-MAN」みたいな感じではあります。
–相手をリスペクトしているからこそみんなにそういう試合を伝えたいということですね。
安彦 もうそれ以外にないです。ぶっ倒してやりたいとかよりも格闘技の持ってる一番本質的な部分を見せれるんじゃないかな。もちろん今は彼にとって全くもって眼中にないと思います。今やったってどうなんだって思うかもしれないけど、それでも僕は言い続けることが大事だし、40歳でJリーガーになるって言った時に周り引いて行ったけど、Jリーガーになったんで。そういう思いでとにかく今周りが引くようなこと、「馬鹿じゃないか」って言われるようなことを堂々と言えるかどうか、それが僕は人間の成長にも大事だと思ってるのでそこに挑みたいなと思ってます。
–今回朝倉未来選手軍団との対抗戦が上3試合で行われますが、会見で朝倉軍団パワーがすごくてちょっとYA-MAN選手とか押されてる感じがあったんですけど、外から見られてどう思いましたか?
安彦 控室で「そこ言えよ!」みたいなね(笑)。僕は試合より盛り上がったんじゃないかなって思うんですけど、やっぱり相手の土俵に乗ったら駄目なので。最近の会見って論破するかしないかになってきて本当に何を伝えたいかを忘れてるんですよ。論破するってなったら彼らは彼らの土俵を持ってるんでそれはめちゃくちゃ強いんですよ。で、うまく三者三様で朝倉未来選手がいながらも他の人がバランスを取ってる三人の軍団っていう形での論破大会になっちゃったんで、そこ違うって!そこ乗ったらあかんぞ!と。やっぱり何を伝えたいか。YA-MANが何でこの大会をやりたいかって根っこの部分を伝えなきゃいけないし、ケルベロス選手も山口選手も自分が何をしたいか、自分がどんなことを伝えたいかっていう一つのメッセージを発信するっていうことが、僕は大事だと思ったんで「もっと強いメッセージ持ってるだろう!」というのは正直思いましたね。
–もっと言ってくれると思ってた?
安彦 売り言葉に買い言葉で言葉合戦するんじゃなくて、あなたが伝えたいメッセージは何ですか?と。それこそ何のために格闘技やってるんですか?それを言えばもう一発で僕は終わった気がするし、それだけのメッセージを持ってるはずなんですけど、ちょっと相手の土俵に乗っちゃいましたね。そこは僕は残念だったなと思います。
–特にケルベロス選手が攻撃されてちょっと黙っちゃう感じでしたけどもどかしかったですか?
安彦 めちゃくちゃもどかしかった、僕行きたかったですもん(笑)。あそこに一人オブザーバー席で俺置いてくれよって思うぐらい。「俺あそこから援護できたぞ」ってあるんですけど、本当にちょっと残念だったのはやっぱり日々何を考えてるか、日々何を思ってるか、記者会見にどんな立ち位置で挑むかってシミュレーションして事前準備しないと駄目だと思うんで、格闘技の試合と一緒だと思うんですよ。どんなことが想定されるかを考えた上であの場に立てるかどうかで変わってくるんじゃないかなと思います。
–安彦選手はそれをいつも練習した上でこの舞台に上がってるんですね。
安彦 もちろんです。鏡の前で何回もシミュレーションして、言い慣れない言葉をやめるとか、あとはナウの情報を出すとか。前回も本当にたまたま行った神社が二つとも日露戦争のことだったんで言ったっていうのはありますけど、とにかく自分が体験したこと、何となく上っ面で聞こえのいいような言葉は絶対使わないで、自分が日々思ってること日々話してることは言うっていうのと、意外に鏡の前で何回か練習したりもするんで、「これ言いにくいな」とか顔引きつってるなと思ったらやめます(笑)。
–今日の公開練習の練習もしたんですか?
安彦 何を聞かれるか全く分からなかったので公開練習の動画をいくつか見てこういう感じかと。じゃあ僕の中で何をしゃべろうかって。でもあとはやっぱりリアクション次第にもなってくるので、そこに自分の伝えたいメッセージを答えて終わるんじゃなくて、何を最後伝えたいか。ただ予想外はいきなりビッグミットがあったっていうことで今口の中カラカラで、ちょっと大変です(笑)。
–やっぱりその格闘家もしゃべる準備をちゃんとしてから上がったほうがいいってことですね。
安彦 トータルです。リングもリングイン前も後も、入り口から出口までトータル含めて僕は勝負だと思ってるので、試合は既に始まってる。もちろんメインは3分3ラウンドのリングですけど、それも含めてじゃないかなと思います。
–最後にファンの皆様にメッセージをお願いします。
安彦 前口太尊には「クルクルサークリングしてしょぼい試合ばっかりしてないで打ち合いに来い」と言われたんですが、別に僕は挑発に乗る気はないです。ただ今回判定がなくてKOしかないんで、僕も正面から思いっきり行きますよ。それは僕なりの戦い方、僕なりの距離感、僕のやり方で。相手に言われたからって相手の土俵に入る気はないので、彼を僕の土俵に入れてしっかり倒しますよ。しっかり勝つのでそれを見ておいてもらって。どうしてもYA-MAN選手と朝倉未来選手が注目されてますけど、アンダーカードに爆裂キャラがいるんですよ。見といてください。やっちゃいますよ。