サムサン•C2M MUAYTHAI &FITTNESS インタビュー 「刑務所では毎日喧嘩をしていてやんちゃだった。今まで試合をしてKO負けをしたことがない」

インタビュー 2024年7月24日

RISE180に参戦しメインベントでRISEアトム級王者•宮崎小雪と対戦するサムサン•C2M MUAYTHAI &FITNESSは波瀾万丈の人生だった。

 

サムサンは1983年生まれ、タイ•ロブリー県出身。両親が会社を経営しており不自由ない幼少期を過ごしていたが、両親が経営する会社の業績が悪化し倒産。満足に食べるものも無く家族を養う為に薬物の密売に手を染める。生きていく為にはこの方法しか考えられなかったという。

16歳の時に麻薬密売により逮捕。最初に降された判決は懲役33年。収監された刑務所でも喧嘩などトラブルが絶えなかったため、刑務所の更生プログラムの一環としてボクシングを始めた事で転機が訪れる。当初33年だった刑期がボクシングでプロデビューし試合を行うと10年に減刑された。2007年4月3日タイ•クロムプレム中央刑務所にて行われたWBC女子ライト級王座決定戦で日本の宮尾綾香選手と対戦し判定で勝利を収めタイ初の女子世界王者となった。これにより刑期が8年に短縮され釈放。その後3度の防衛に成功し王座を返上。

彼女の半生が映画化されるなど注目を浴びた。

今回RISEに初参戦する事になったサムサン選手のインタビューを是非ご一読下さい。

–サムサン選手はいつから来日しているんですか?

サムサン 2024年6月12日からです。

 

–ボクシングの試合があったのはいつでしたか?

サムサン 6月10日にあって、その2日後に日本に来ました。

 

–試合はどこでやったんですか?

サムサン バンコクです。

 

–日本人の選手と戦ったんですか?

サムサン そうです。天海ツナミ選手と戦いました。

 

–その試合をしたのはいつぶりだったんですか?

サムサン 4年ぶりくらいです。

 

–その試合はどうでしたか? 

サムサン 前回は判定で負けてしまいましたが、今まで試合をしてKO負けをしたことがないです。

 

–サムサン選手の昔のことを伺いたいのですが、刑務所に入る前はどういう生活をしていたんですか?

サムサン 私は薬物を売ったりして生活をしていました。

 

–それは親や家が貧しくて生活が苦しかったからですか?

サムサン 家族にはお金がありました。だけど状況が悪くなって倒産して、お母さんも病気になって私は家族のためにお金を稼ぐと決めました。

 

–大変でしたね。

サムサン とても辛かったです。

 

–ご飯もあまり食べられない状況でしたか?_

サムサン 薬物を売る前は1日に1回しかご飯を食べることができませんでした。お金が無くて大きなお寺のお坊さんから残り物を貰いに行くこともありました。

 

–逮捕されて刑務所の中に入って、そこでボクシングを始めたんですか?

サムサン 刑務所の中では毎日喧嘩をやっていて結構やんちゃだったので、刑務所内の更生プログラムでボクシングを始めました。正直に言うとボクシングは好きではなかったです。

 

–好きではなかったけど、ボクシングを続けた理由はなんですか?

サムサン 刑務所では最低3ヶ月は更生プログラムでボクシングをしないといけなくて、もしプロボクサーになるなら他の仕事をしなくていいので続けていました。他の仕事はもっと大変なので、それでボクシングのプロになろうと決めました。

 

–ボクシングを選んで、続けた結果楽しくなってきたんですか?

サムサン 本当はまだ好きではないです(笑)。でも、「もし世界チャンピオンのWBCのベルトを獲ったら家に帰れるよ」って言われて、試合に出続けました。

 

–それで最初は10年刑務所にいなくてはいけなかったのが、8年に刑期が短くなった訳ですね。

サムサン 最初に裁判所で判決が出た時は刑期33年でした。当時はまだ16歳だったという事と、自分がやったことが悪い事だと認めボクシングを始めたので、10年にしてくれました。

 

–WBCのチャンピオンになって、2007年に釈放されたという事ですね。

サムサン チャンピオンになって10年刑務所にいなければいけなかったのが、8年になりました。

 

–刑務所を出た後もボクシングは続けたんですか?

サムサン 8年で刑務所を出れたけど、残りの2年は完全に釈放された訳ではなくて、刑務所からのチェックを受けなければいけませんでした。だから試合は続けなければいけませんでした。

 

–サムサン選手が刑務所に入ってボクシングで活躍している頃、ご両親はどうされていたんですか?

サムサン 亡くなっていました。

 

–それはいつ頃だったんですか?

サムサン 刑務所に入って2ヶ月後くらいに両親とも亡くなっていました。そこから20年ぐらい1人です。

 

–ご両親が亡くなっていることを知ったタイミングはいつでしたか?

サムサン 友達が刑務所に会いに来た時に知りました。とても悲しかったです。

 

–以前は刑務所の中でボクシングを始めて、刑期を短くするために戦っていたと思いますが、今は試合をする時はどういう気持ちで戦っているんですか?

サムサン 仕事だと思って戦っています。

 

–では今回はその“お仕事”をやれる自信はありますか?

サムサン できるかできないかは分からないけど、いつでも準備しています。毎回全力で頑張っています。

 

–RISEのチャンピオンを倒せばいっぱいお金をもらえますよ。

サムサン 勝っても負けてもお金に関しては大丈夫です。とりあえず自分自身のベストを尽くします。

–タイで6月にツナミ選手と試合をしていましたが、その前はどんな生活をされていたんですか?

サムサン 自分のベーカリーショップをやっていました。

 

–パン屋さんをやっていたんですね。それは今もタイでお店を持っているんですか?

サムサン コロナの影響でお店は閉めました。

 

–そういった状況もあって、また試合に出ようと決めたんですか?

サムサン それも関係ありますね。

 

–今までボクシングだと日本人選手とたくさん試合はしてきていると思いますが、日本人ファイターにはどういう印象を持っていますか?

サムサン 日本人とはこれまでに6人くらいと戦っています。日本人はフットワークがとても早く、上手な印象があるけど私の方が技術は上です。

 

–宮﨑選手も同じようにステップワークを使った技術のある選手ですが、どう戦うかイメージはできていますか?

サムサン トレーナーと一緒にどう倒すかプランを練っています。また試合の時に戦いながら決めていきます。

 

–宮﨑選手のスピードとテクニックを上回るパンチを持っている自信はありますか?

サムサン 怖いことは一切ありません。あとは試合までお楽しみにしてください。

 

–相手を倒す感覚は刑務所の中で覚えましたか?

サムサン 刑務所の中は毎日喧嘩をしなければいけなくて、ノックアウトしないと自分が生き残れない生活でした。

 

–ノックアウトする時の得意技はなんですか?

サムサン KOを1番できた技はボディーとフックです。もしタイミングが来たら出したいと思います。

 

–対戦相手の宮﨑小雪選手はRISEのチャンピオンですが、チャンピオンベルトは欲しいですか?

サムサン 心の中ではとても欲しいと思っていますが、まずは今回試合に出れることにとても感謝しています。

–ムエタイの練習は今までもしていたんですか?

サムサン ボクシングの時は普段は全然していなくて、ムエタイの試合がある時のみ練習していました。だけど今はムエタイのジムでトレーナーをしているので、ムエタイの技術は持っています。

 

–RISEに出る上で、キックボクシングに不安はないですか?

サムサン 心配は全くありません。自信があります。

 

–刑務所に入る前も喧嘩はしていたんですか?

サムサン 刑務所の外にいた時は薬物を売っていただけで、喧嘩はしていないです(笑)。

 

–最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

サムサン これからも日本に住むつもりなので、日本人のファンも私のことを応援してもらえるように頑張ります。これからもよろしくお願いします。試合の日を楽しみにしてください。

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