電工ナビ presents RISE FireBall NAGOYA 中村拓己さんの見所コラム「名古屋大会は地方大会の枠を超えたプレミアムイベント、RISEの全国展開にも注目だ!」
大会情報 2025年5月9日
2025年5月11日(日)ポートメッセなごや第三展示館にて開催される「電工ナビ presents RISE FireBall NAGOYA」につきまして、中村拓己さんの見所コラムを公開します。
2024年からGLORYとの提携を強化し、本格的に世界への発信をスタートさせたRISE。その一方で国内のイベント展開についても新たな動きが生まれた。それがRISE初の名古屋大会の開催だ。
これまでRISEは関東でのワールドシリーズと後楽園のナンバーシリーズを中心に、大阪でのワールドシリーズ、九州・福岡でのプロ大会、北海道・札幌でのアマチュア大会を展開してきたが、意外にも名古屋で大会が開催されることはなかった。しかし名古屋には大﨑兄弟が所属し、RISE’sPRIZEでベストジム賞に選ばれたOISHIジムが居を構え、中部地区からRISEで活躍する選手たちも少しずつ増えている状況で、満を持しての名古屋進出となる。
RISEが名古屋大会に踏み切った要因はやはり大﨑兄弟の存在が大きい。大﨑兄弟は弟・孔稀が2019年11月から、兄・一貴が2020年2月からRISEに参戦。一貴は2020年9月に田丸辰を下して第2代RISEスーパーフライ級王座に就くと、2024年3月にはISKAオリエンタルルール世界フライ級(53.5kg)王座も戴冠。今やRISE軽量級を代表するファイターになった。一方の孔稀はなかなかタイトルマッチのチャンスが恵まれなかったが、2023年12月に鈴木真彦に判定勝利して第8代RISEバンタム級王座に就き、ONE Friday Fightsでの勝利も含めて6連勝中。RISE史上初の兄弟同時王者になっていた時期もあり、兄・一貴と共にRISE軽量級を支えてきた。大﨑兄弟はかねてからRISE名古屋大会の開催をRISE伊藤隆代表に直訴しており、自分たちの力で掴み取った名古屋大会開催と言えるだろう。
名古屋大会は通常のナンバーシリーズではなく「RISE FireBall NAGOYA」(ライズ・ファイヤーボール・ナゴヤ)として行われることが決定。「FireBall」はRISEが初めて後楽園ホールで大会を開催した際につけられたタイトルで、ナンバーシリーズとワールドシリーズの間に位置する大会としてリブランディングされ、名古屋大会がその第一弾大会となる。ナンバーシリーズよりワンランク上の大会となった名古屋大会は、マッチメイクを見てもビッグマッチで組まれてもおかしくないカードが組まれた。
その象徴が大﨑一貴とコーリー・ニコルソンによる初代RISE世界スーパーフライ級王座決定戦だ。ニコルソンはWBC・ISKA・WKBFの3団体で合計5本のベルトを巻き、18戦17勝1敗の戦績を誇る超強豪。ワールドシリーズのメインイベント級の試合が名古屋で実現し、世界トップレベルの戦いが繰り広げられることになる。
世界戦と並んで王者・小林愛理奈vs挑戦者・宮本芽依のRISE QUEENミニフライ級タイトルマッチも組まれた。小林はOFGでも戦い、昨年12月には1階級上のテッサ・デ・コムの持つRISEフライ級王座にも挑戦。この試合では敗れたものの、今回は保持するミニフライ級王座の防衛戦に臨む。挑戦者の宮本はアマチュアボクシングの実績を引っ提げ、2023年からRISEに参戦。5戦5勝と無敗のままタイトル挑戦にたどり着いた。KRAZY BEE所属の宮本は三重県松阪市出身で、地元に近い名古屋で大一番を迎える形だ。
大﨑孔稀は門口佳佑とバンタム級のスーパーファイトで激突。門口は第5代RISEフェザー級王者として確固たる地位を築き、フェザー級のトップランカーのままバンタム級に殴り込み。いきなり現王者の孔稀と対戦することになる。孔稀もバンタム級では上位ランカーに軒並み勝利しており、バンタム級で頭一つ抜けている状況の孔稀とフェザー級トップの実力者・門口の一戦は、これぞスーパーファイトと呼べる戦いだ。
政所仁vs数島大陸もスーパーフライ級1位の政所と元フライ級王者&フライ級1位の数島が戦うという階級を超えた戦い。地方大会は地元選手の試合が中心になることが多いが、政所と数島はともに大阪在住のファイター。こういったカードが組まれたことは今回の名古屋大会が地方大会の枠を超えたイベントであることの表れだ。
今大会は大会の約2週間前に全席ソールドアウトし、超満員の会場での開催となるが、決してここがゴールではない。大﨑兄弟をはじめ5選手が出場するOISHIジムの大石陽一郎会長は「大﨑兄弟が結果を出して、その結果で引っ張ってきた大会。一回きりの打ち上げ花火にならないようにしたい」、大石駿介トレーナーは「これだけ盛り上がったから継続してやるぞとみんなが思えるような大会にする」と名古屋大会の定期開催を目標に掲げている。また4月末にはRISEがDEEP☆KICK協力のもと、RISE EVOLシリーズを大阪で開催することも発表された。
名古屋がRISEの新たな聖地となるか。そしてRISEの盛り上がりを日本全国まで広げることができるか。名古屋大会はその導火線に火を点ける戦いでもある。