中村寛インタビュー 『テーマは一方的な暴力。9分間俺の前に立っていられるのは無理』

大会情報 2024年9月3日

9月8日(日)に行われる「RUF presents RISE WORLD SERIES2024 YOKOHAMA」に出場する中村寛選手のインタビューを執り行いました。

中国からの刺客エン選手を迎え撃つ中村寛選手が試合への心境や意気込みを語ります。

–今回の対戦相手は中国のエン・ペンジェー選手に決まりましたが、対戦が決まった時の心境はいかがでしたか?

中村 ほんまに強いんかな?って疑問でしたね。でも中国で39戦39勝って事は本当に強くなければ39戦無敗でいられないでしょ。今中国も格闘技が盛り上がっていて層も厚いので、実力はあるんじゃないですかね。

 

–海外でも試合はしているみたいで、海外での戦績は4勝1敗と負けはしているんですけど、中国国内では無敗なので強敵という事には変わりなさそうですね。

中村 戦績はどうでもいいですよ。戦績だけ見たら僕もめっちゃ強くはないですから。

 

–中村選手は自分のスタイルを貫いていくので、あまり相手の事を考えて戦うタイプではないですよね。

中村 毎回印象とか意気込みを聞かれんるんですけど、結構自分と戦っているので、周りは関係ないかなと思っています。自分が考えているのは過去一の状態を作ってさらに進化した姿を一緒に戦ってくれるファンやスポンサーのみんなにKO勝ちするところを見せたいという事だけです。

 

–そういう部分で先日の会見で言ったように、“一方的な暴力”とか“残虐的な暴力”みたいな表現を使われていたんですか?

中村 そういう感じになります。当日を楽しみに待っていてもらいたいんですけど、自分の状況とかを客観的に見ても相手にならないので、相手は「3分3ラウンドなら自分のペースで持っていく。制圧する」って言ってるみたいなんですけど、まあ無理ですよ。9分間俺の前に立っていられるのは無理なんで、楽しみにしておいてください。

 

–先日の会見では来年のワールドシリーズで61.5kgのトーナメントを開催すると伊藤代表から発表がありましたが、中村選手も熱望していてこの階級でのトーナメントとなりました。この61.5kgの階級でやりたかった理由はありますか?

中村 何を考えても出られないような試合を、手術明けで運動もできていないような状態で無理にやって60kgの計量で1回失敗しているので、その現実は受け入れていました。それから63kgの体に作っているかと言われたら作ってなくて、一旦63kgでベルトを獲ったら発言する権利があるかなと思って、それでベルトを獲ったので、自分の適正階級というかそこに合わせたいというところはあります。

 

–中村寛の本来のベスト体重はその辺りという事ですね。

中村 その辺りから60kgとかですね。僕身長が164cmしかないので、どの階級でやっても相手の方が大体デカいのであまり変わる事はないんです。今回の相手も僕より8センチ高くて、大体がデカいやつを倒すっていう事以外はあまり考えていないです。自分に合った自分のパフォーマンスを1番発揮できる体重に興味があったので、それでRISEにも話したことでこのトーナメントが出来上がったと思っているので、僕がいなかったらこのトーナメントは数字も注目度も成り立たないです。僕のためにあるトーナメントだし、僕が動いて作られたトーナメントなので、それに見合った勝ち方をするだけですね。

–伊藤代表からは大雅選手の他にチャンヒョン選手やタリソン選手、常陸選手などの名前も挙がっていましたが、誰と戦いたいというよりは自分が輝くトーナメントになるイメージですか?

中村 脇役は頑張ってくれという感じですね。

 

–ちなみにリベンジという部分ではチャンヒョン選手はどうですか?

中村 チャンヒョンが出るんやったら僕は指名しようと思っています。1回負けてるのにごちゃごちゃ言うのは、どんな状況であれ受け入れて前に行きたいタイプなんで、だから1勝したって言われようがそれはその時の自分が負けていたんでしょうがない事なんですけど、トーナメントで当たるってなったら必ず倒すという気持ちでやっています。また交わる時が来れば勝手に来るからって感じですね。

 

–現在RISEの63kgのベルトを持っていますが、ここについては今後どうしていくか考えはありますか?

中村 63kgで今僕のことを倒せるやつはいますか?1位から3位のやつを僕が倒してチャンピオンになったでしょ。そこにみんな負けているじゃないですか。順位もそんなに変わっていないし。それやったらその間に世界に挑戦させてくれっていう、僕のベルトを獲りたい人間が実績をちゃんと積んで来るまでの間、僕は世界に挑戦できますよねっていう話がこのトーナメントに関してのスタートなので、だから防衛戦をやるってなったらやるんじゃないですかね。僕はいつでもどの試合でもベルトをかける気でやっているので、以前のタリソン選手との試合の時もベルトがかかっている気持ちでやっていました。

 

–記者会見後に対戦相手の映像はご覧になられましたか?

中村 見ていないです。

 

–見ていないのは意図がありますか?

中村 何も考えていないだけですね。見るタイミングじゃないです。

 

–自分の中のタイミングですか?

中村 自分の中のタイミングっていうか、まだ見ていないからタイミングじゃないって感じです。見たら何か変わりますか?

 

–相手の動きとかを見た方がシャドーをするにもイメージがしやすいんじゃないかなと思いました。

中村 身長が分かっているので大丈夫です。殴る位置は変わらないじゃないですか。あとはみんな動くので、前後に動いたら色々打つ場所が変わるので、どこでも打つ準備をしています。

 

–中国人選手が他団体でも活躍しているっていうのはご存知ですか?

中村 強い人が多いって事だけ聞いていたので、選手層が厚い中で無敗の人だからっていう感覚です。

 

–他団体に出場している中国人選手の映像とかはご覧になってないですか?

中村 ないですね。あるとしたらジャッキーチェンくらいですね。ジャッキーチェンはかっこいいですね。

–中国ってフィジカルが強くて体が強い選手が多いんですよ。アジアの中でも日本的な感じではなくてロシアに近いような体をしているんですけど、そう言った面は関係ないですか?

中村 強いやつは強いので、だから僕は強いじゃないですか。それで魅力があるから皆見るわけじゃないですか。その結果があるし、日本人でもフィジカルが強いやつは強いし、中国でもフィジカルが弱いやつは弱いので変わらないです。

 

–メンタルがすごく安定していると会見で言われていましたが、そのためにメンタルトレーニング的な事はしているんですか?

中村 以前の試合の時から話していた通り、呼吸や氣とかの練習ではないけど修行はしています。

 

–それは独学ですか?

中村 呼吸や氣を取り入れて、今は自分で応用しています。行き過ぎてもまた話が変わってきてしまうので、それを取り入れた上で自分なりに応用を効かせている感じに近いですね。

 

–その呼吸とはどう言った呼吸法なんですか?

中村 ヨガに近いようでヨガではない、吸って吐く感じです(笑)。吸って吐いていたら精神が整っていくんですけど、最近やっているのはいかに自分がどういう風な状態でニュートラルに戻していくかを意識して、戻したタイミングで感覚を研ぎ澄ますとちょっとポイントがずれていた事とかに気づけるようになりました。

 

–瞑想はやっていますか?

中村 さっきの呼吸法がどちらかというとヨガよりも瞑想ですね。

 

–先ほど身長についての話がありましたが、小さい頃からクラスの中では小柄な方だったんですか?

中村 クラスの中では後ろから2番目くらいでしたね。

 

–じゃあ小さい頃はその集団の中では大きい方だったんですね。

中村 小学校の時はそうですね。

 

–いつくらいからクラスの中で自分は小柄だなって思うようになりましたか?

中村 僕小6から今くらい身長があったんですよ。だからデカかったです。中学の卒業式くらいの時期に皆んなで整列したら、皆んなが自分より高くなってました。前から3番目か4番目くらいになっていて「嘘やろ」っていう感じでした。

–中学生くらいの時に喧嘩になった時とかは、体が小柄だとなめられたりしませんでしたか?

中村 小学生とか中学生の時から身長は関係ないくらい強かったです。

 

–じゃあデカいやつとかも全然関係なく相手にしていたって感じ?

中村 デカかったらしばいてました。っていう時期がありました(笑)。

 

–格闘技で戦う上で『自分よりも大きいやつをしばく』っていうのはテーマだと感じていますか?

中村 あんまり考えていないです。去年の12月に戦ったデカいやつと決まった時は、皆んな外国人選手はデカかったけど、その中でも群を抜いてデカいよなって事で話題になるなと思って言っていた部分はあります。逆に気になりますか?

 

–周りから見ると気になるなと思うんですけど、そうはならないですか?

中村 僕は分からないです。空手の軽量級で優勝した時に、横に重量級の選手が表彰式で座って写真の見てくれで負けるのが嫌だったんですよ。それで頑張って体重を増やして重量級で優勝したんですよ。日本拳法の時も無差別級だったので、身長190cmの体重100何十キロとか自衛隊の人とかと戦っても片手で投げたりしていたので、「負けず嫌いだったら何でもできる」って思うタイプです。競技を何かやるってなったら、それに対して真っ直ぐやっていたらできるかなと。

 

–相手の打ち下ろしてくるパンチに対しても、脅威だと感じた事はないですか?

中村 打ち下ろしてくるって意識して、アッパーをもらったら終わりでしょ。だから正解ってないなって思うんですよね(笑)。攻撃をもらわないのが1番ですけど、もらってしまっても立っておけばいいっていう感じです(笑)。

 

–言葉にすると簡単に感じてしまうんですけど、実現させているところが中村選手の凄いところですね。

中村 ありがとうございます。でもみんな難しく考えているだけで思っているより簡単ですよ。だって16勝している内の13勝はKOしているんですけど、3回はミスしているんですよ。ミスはあるものなので、やろうと思い続けたら意外となんとかなるもんなんですよ。

 

–次の試合もそういう感じの強気な姿勢を楽しみにしています。

中村 “一方的な暴力”でそれが弱いものイジメみたいに見えたらそれが正解です。その事だけを頭に入れてずっと練習しているので必ず形にします。

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