RISE184中村拓己さんの見所コラム「ベルトをかけた3度目の決着戦、階級を超えた王者対決…競技性と格を超えた試合で主役の座を掴め!」
大会情報 2024年12月12日
2024年12月15日(日)東京・後楽園ホールにて開催されます「RISE184」の見どころコラムを公開します。(文:中村拓己さん)
2024年のRISE後楽園シリーズ最終戦は、政所仁vs花岡竜とテッサ・デ・コムvs小林愛理奈のダブルタイトルマッチに加え、第2代RISEアトム級王者・宮﨑小雪の国際戦など、全12試合が決定。6日後の21日に幕張メッセでビッグイベント=GLORY RISE FEATHER WEIGHT GRAND PRIXを控えているにも関わらず、普段の後楽園シリーズと遜色ない、ビッグマッチで組まれてもおかしくないようなカードずらりと並んでいる。
政所と花岡は世界タイトルを目指す大﨑一貴が返上したRISEスーパーフライ級王座決定戦で激突。政所は今年6月のRISE大阪大会で大﨑のタイトルに挑戦し、強烈なカーフキックで大﨑をあと一歩まで追い込むも5R判定負け。大﨑の王座返上を受けて、2試合連続でベルトに絡むチャンスが巡ってきた。一方の花岡は3月のRISE東京体育館大会で行われたRISE×K-1対抗戦でK-1・池田幸司を撃破。6月の後楽園大会では長谷川海翔とのランカー対決を制し、今回の王座決定戦に駒を進めた。
ランキングでは1位・政所vs3位・花岡というマッチアップで、2位の田丸辰が志朗とRISE世界バンタム級王座を争っていたことを考えれば、トップランカー同士による文句なしの王座決定戦だ。政所と花岡はここまで2度対戦して1勝1敗、ベルトをかけての3度目の決着戦という最高のシチュエーションになった。また過去2戦ともスピーディな打ち合いが展開されたなかでのKO・TKO決着で、今回も好勝負必至だ。
テッサと小林愛理奈は現RISEミニフライ級王者の愛理奈がテッサが保持するフライ級王座に挑戦する図式の王者対決だ。王者テッサは2022年12月のRISE両国大会で小林愛三から勝利を収めると、翌2023年5月に愛三とタイトルマッチで再戦。愛三を返り討ちにしてRISEミニフライ級王座に就いた。
挑戦者の愛理奈は2023年11月にerika♡をKOしてミニフライ級王座に就くと、OFGマッチや階級を超えた戦いにも意欲を示し、今年5月には小林愛三とOFGマッチで対戦し、女子格闘技の歴史に残る壮絶な殴り合いの末に勝利を収めた。この時から愛理奈はテッサとの対戦をアピールし、10月には前哨戦としてフライ級契約でビョン・ボギョンを撃破。満を持してテッサとの対戦、しかも2階級制覇がかかった王座挑戦が決まった。
それぞれシチュエーションの異なるタイトルマッチが並んだ今大会、RISE伊藤隆代表は事前インタビューで「政所vs花岡かテッサvs愛理奈、どちらをメインにするか決められていないんですよ。理屈でいけばテッサvs愛理奈なんですけど、内容やストーリーを見ると政所vs花岡なのかなとも思うんです」と試合順を決めかねていることを明かした。
これはSNS上でも大きな話題となったが、最終的にはダブルメインイベントとして第1試合=テッサVS愛理奈、第2試合=政所VS花岡に決まった。伊藤代表が言うように競技性と格で言えば、ランカー対決の王座決定戦=政所VS花岡よりも、王者対決のタイトルマッチ=テッサVS愛理奈が最終試合に来るのが妥当だ。その一方で政所VS花岡は過去2度の対戦ともRISEらしい試合を繰り広げ、ベルトまでのストーリーを作ってきた。RISEは競技であると同時にプロイベントの興行でもある。今回はそうした部分も含めて、この試合順になったと言えるだろう。
これはタイトルマッチに出場する4選手、そして他の選手に対しても非常にいい刺激になったのではないだろうか。王者対決を差し置いて最終試合に組まれた政所と花岡はその期待に応える試合をしなければならない。テッサと小林は試合を通して、自分たちの方が最終試合に相応しかったと思わせたいはずだ。
今大会ではタイトルマッチと宮﨑のスーパーファイトを合わせて女子4試合が組まれているが、ここで他を喰う試合内容・結果を見せることができれば、来年以降、より女子選手にスポットライトが当たるに違いない。
競技性や格だけに縛られないからこそ、ファンの心を掴む熱い試合をした選手がチャンスを掴んでいく。伊藤代表は常々「RISEの選手たちには相手だけじゃなく、試合を見ているお客さん、そして主催者の我々とも勝負してほしい」と話している。あらゆる勝負に勝って、12月15日の主役になるのは誰だ!?