【中村拓己さん見どころコラム】「強者は、西から生まれんねん。」RISEの歴史と未来が詰まった大阪決戦
大会情報 2024年6月13日
6月15日(土)に開催される「RISE WORLD SERIES 2024 OSAKA」の見どころコラムを公開します。
ぜひ大会前にご覧ください。(文:中村拓己)
「強者は、西から生まれんねん。」
これが今大会のABEMA制作のキービジュアルのキャッチコピーだ。このキャッチと共に、大阪在住のチャンピオンを含む全11選手が通天閣をバックにずらりと並ぶビジュアルはインパクト大だ。
大阪でのビッグマッチは2019年7月からスタートし、今年で6年目。5年前の大阪大会の出場選手を見返すと、大阪在住の現役チャンピオンは鈴木真彦のみ。それが今年は中村寛、中野椋太、数島大陸の3選手に増え、RISE全体を見ても7人のチャンピオンが大阪在住という状況だ。今やRISEにとって大阪大会は地方のビッグマッチという枠を超え、東京と並ぶ中心地になったと言っても過言ではない。
RISE WORLD SERIESと言えば、RISEの精鋭たちが海外の強豪と拳を交える“日本VS世界”だ。当然中村&数島の大阪王者コンビがここに名を連ね、2023年の年間MVP・田丸辰、大雅、白鳥大珠、南原健太と関東からもトップ選手たちが参戦し、豪華なメンバーが集まった。
マッチメイク的にも中村VSタリソン“Crazy Cyclone”フェレイラは当初3月の「RISE ELDORADO 2024」で予定されていたカード(※タリソンのバイク事故で消滅、今大会にスライド)で、大雅と“スーパーレックを追い詰めた男”ダニエル・プエルタスの一戦や、年末に予定されているRISE&GLORYの65kgトーナメントへの生き残りをかけた白鳥VSペトル・モラリなど、関東のビッグマッチで組まれてもおかしくないカードが並んだ。また宇佐美秀メイソンのRISE初参戦、那須川龍心VS塚本望夢のフライ級トップランカー対決など、全国のファンが大阪まで足を運びたくなるようなラインナップが揃っている。
そんな大阪大会のメインイベントはRISEスーパー・フライ級の絶対王者・大﨑一貴に地元・大阪の挑戦者・政所仁が挑む一戦だ。
2018年からRISEに参戦し、その実力を評価されていた政所だが、RISE伊藤隆代表が「強い選手だけど、今まではあと一歩が足りなかった」と話すように、どこか突き抜けきれない印象があった。しかし2023年7月に風音を激闘の末に破ると、8月にはスペインのルベン・セオアネをKO。11月のRISE NEW WARRIORS スーパーフライ級トーナメントでは1回戦で過去に敗れている花岡竜にKOでリベンジを果たし、決勝の長谷川海翔戦では右ハイキックでダウンを奪って勝利し、トーナメント優勝と大﨑への挑戦権を勝ち取った。まさに今まで政所に足りなかった「あと一歩」が出るようになった、そんな1年を過ごして急成長を遂げたと言っていいだろう。
一方の王者・大﨑は2020年9月にRISEスーパーフライ級王座に就くと、2023年4月にはISKAオリエンタルルール世界フライ級王座も獲得し、スーパーフライ級で確固たる地位を築いた。しかし昨年のRISE WORLD SERIES 2023 -54kg Tournamentでは準決勝で敗退。12月のジャルンスック・ブーンラナームエタイは延長判定2-1で辛くも勝ちを拾い、今年3月のジラリー・キャルービー戦も勝ちはしたものの、キャルービーのクリンチワークに苦しんで見せ場を作ることができなかった。大きな飛躍を遂げた政所とは対照的に、今の大﨑は思うような試合をできていない。
大﨑と政所は2020年7月のRISE後楽園大会で対戦し、この時は大﨑が延長判定勝利を収めている。政所にとってはキャリア的にも上り調子で、地元・大阪で迎えた王座奪取&リベンジのチャンス。これ以上ない舞台を前に「ずっとこのベルトが欲しかった。それプラス大阪ということで、今まで応援してくれている人たちにも悔しい思いをさせた分、たくさんの人に現地で試合を見てもらえることはありがたい。ホームでしっかり会場を揺らします」と燃えている。
もちろん大﨑もそう簡単にベルトを明け渡すつもりはない。この試合に向けて過酷な走り込み合宿を行い、「これから世界の強い選手と試合をしていきたい。ここで負けていられない」と格の違いを見せつけるつもりだ。
これまでの大阪大会はWORLD SERIES TournamentやDEAD OR ALIVEトーナメント、原口健飛VSペットパノムルンなど、どちらかと言えば飛び道具的な要素の強いカードがメインイベントに組まれてきた。今回のように通常のタイトルマッチがメインイベントを務めるのは初だ。今年の「ELDORADO」でも志朗VS田丸辰のRISE世界バンタム級タイトルマッチがメインイベントに組まれたが、今のRISEにはRISE内でストーリーを熟成させ、その2人がベルトをかけて戦うという王道のマッチメイクでビッグイベントを成立させる底力がある。しかも大阪大会でそれが出来るというのは、RISEがこれまで時間をかけて選手を育てて、大阪という場所にRISEを根付かせたことの証だろう。
「強者は、西から生まれんねん。」
このキャッチコピーの通り、RISEの歴史と未来、その2つが詰まった大阪決戦だ