SBを背負う男・笠原弘希弘希、シーザー会長も太鼓判。【RISE WORLD SERIES 2025 FINAL】特別企画<3>
インタビュー 2025年10月28日
2025年11月2日(日)にて東京・両国国技館開催されます『RISE WORLD SERIES 2025 FINAL』特別企画として、出場選手の合宿や出稽古の様子をレポートいたします。第三弾は笠原弘希選手&シュートボクシング協会 シーザー武志会長です。

GLORY×RISE LAST FEATHERWEIGHT(-65kg)STANDING TOURNAMENT 2回戦で唯一の日本人対決はRISE王者・白鳥大珠とシュートボクシング(SB)王者・笠原弘希による王者対決となった。
SBの看板を背負ってトーナメントにエントリーした笠原はSB史上初の3階級(フェザー級・スーパーフェザー級・ライト級)制覇を達成。RISEミドル級王者でもある海人、笠原三兄弟(弘希・友希・直希)らと共にSBの屋台骨を支えるSBを代表する選手の一人だ。トーナメント1回戦ではロンペットからダウンを奪っての判定勝利を収め、白鳥との一戦に駒を進めた。
笠原がシーザージムに入門し、SBの道を歩み始めたのは9歳の時。生まれつき足に障害(内反則)を持ち、内反則の手術を受けたあとにリハビリの一環として始めたのが格闘技=SBだった。SB協会・シーザー武志会長によると入門当初の笠原は特別なものを感じる選手ではなかったが、笠原がアマチュアで試合を重ねてプロデビューを目指すなかで、笠原が特別なものを持った選手だということに気づいたという。

「ジムに来た時はまだ子どもだったし、あまり何も感じなかったんですよ。でもアマチュアの試合に出るようになって、プロデビュー戦を見た時に『こいつは“心”があるな』と思ったね。彼の場合は足の障害を克服して、ここまできた。きっと彼は心にハンデを持ってたと思うんですよ。でもそれを乗り越えた彼の心意気と気持ち、それを僕は買っていました。
プロになってからの試合を見ても、弘希は打たれ強くて相手を怖がらない。相手に対してビビッて下がるようなことがない。勝負師としての勇気を持っているよね。ファイターはどれだけ技術を覚えても、そういう勇気や戦う気持ちを持っていなかったからダメ。弘希は気持ちと心を持っている」(シーザー会長)
SBでは2023年4月からOFGマッチを導入しているが、その最初の試合に選ばれたのが笠原だった。また今年8月に笠原がイモトボルケーノが持つSB日本スーパーライト級王座に挑戦した際にイモトがOFGマッチを提案すると、笠原はその場で「全然いいよ。ヒジありでもいいよ」と即答。OFG&ヒジありで行われたイモトとの一戦は、2Rに笠原がイモトのパンチで大流血したものの、逆にヒジ打ちでダウンを奪う大激闘となった。

「イモトと弘希のタイトルマッチはいい試合だったね。ああいう試合が“プロ”の試合じゃないのかな。仮に負けたとしても、最後まで倒しに行く。お客さんが高いお金を払って会場まで試合を見に来るのは、ああいういい試合を見たいからだから。それで自分の人生に置き換えて、自分の励みにするというか。それを与えるのがプロの選手だと思うし、それに応えられるくらいのファイトをしないとね。弘希はそういう試合ができる選手ですよ」(シーザー会長)
「僕ももちろん(試合や相手が)怖い部分もあるんですけど、会長にずっと教えられてきたのは、前に行かないと相手が来るぞということ。怖い面があるからこそ前に行くとか、自分から前に行って潰しに行くとか、そういった面や気持ちが僕は試合に出やすいのかなと思います」(笠原)
シーザー会長からは記者会見の場で「弘希は練習嫌い」といじられることもある笠原だが、会長曰く「ここ最近の中では一番燃えている。うちの練習以外にも自分でボクシングジムに行って練習したり、今までで一番いいんじゃないの?」と白鳥戦に向けて充実した日々を過ごしている。
シーザージムの同門で笠原三兄弟の三男・笠原直希も「(今回の笠原は)いつもと違っていて、RISEルールへの適応の仕方だったり、しっかり1つ1つ考えて動いていることが伝わる練習をしています」と話す。
この日もシーザー会長が見守る中、ジムのタイ人トレーナー、通称ダムさんを相手に気迫のこもったミット打ちを行った笠原だが、白鳥という対戦相手が笠原の闘志に火を点けているという。

「自分としてはいつもの試合と違うわけではないんですけど、白鳥選手はRISEの看板を背負ってくる選手ですし、僕ももちろんSBを背負って戦います。この試合は本当にどう譲っても負けられないし、その気持ちが僕の練習を後押ししてくれているのかなと思います。
白鳥選手とやることが燃える材料になっているし、周りの目線からしても、このカードはすごく盛り上がっている試合だと思います。白鳥選手は変なトラッシュトークもしないし、いい意味でバチバチな気持ちのいい試合になりそうな気がしています」(笠原)
RISE×SBという点では、RISE WORLD SERIES 2025 -61.5kg Tournament準決勝で笠原三兄弟の次男・笠原友希がRISEの中村寛に判定負け。あの試合も「友希があんなに気持ちを出す試合を初めて見たんですよね。友希の魂を感じて胸を打たれました。SB×RISE、友希が負けたから兄貴の俺がやり返さないといけない。そういう想いもあります」と笠原の気持ちを燃やす材料になっている。

さらにシーザー会長も「いつも僕は『いい試合をすればいい』『お客さんが感動するような試合を見せろ』と言っているけど、トーナメントは勝って上に行かないといけない。今回はいい試合だけじゃなくて勝負として勝て、勝ちに行けと言っています」と笠原の勝利を後押しした。
今年創設40周年を迎えるSB。シーザー会長は「ここのジムにいる選手もそうだし、選手たちは自分の子供と一緒」と語る。
「選手はみんな子どもと一緒ですよ。ここのジムにいる選手もそうだし、選手たちは自分の子どもと一緒。緒形(健一、SB協会代表)もそうだけど、みんな自分が育ててきたし、子供たちがだんだん大きくなって成長していくのを見ていると良かったなと思います。今も若い選手たちが(SBを)受け継いでいて、SBの光を消さないように守ってほしいね」(シーザー会長)
SBの伝統と歴史。笠原は「僕はSBで格闘技を始めて、17年間SBをやってきて、SBで生まれ育ってきた、だからこそ俺が誰よりも一番SBを引っ張っていく想いでやっています」とSBを背負う覚悟を持ってトーナメント、そして白鳥との戦いに挑む。
