棚澤大空インタビュー「初めての両国で気分が上がっていて、逆にウキウキでいって“俺の日にしよう”かなと思っている」
インタビュー 2025年10月29日
来る2025年11月2日(日)東京・両国国技館にて開催されます『RISE WORLD SERIES 2025 FINAL』につきまして出場選手のインタビューを執り行いましたのでお知らせします。

–今年5月にRISE初参戦をして、8月はRUF presents 200万総取りトーナメント“GACHI!!”で優勝して、今回またフライ級王座決定トーナメントという事で一気に波が来ている印象ですけど、今年が始まった時点ではこういう事になるという想定はしていましたか?
棚澤 いや、していないです笑。まずそもそも僕が53kgにこだわってやっていた部分もあったので、51.5kgに落とすとは思っていなくて、会長からそういう話をいただいた時に「タイトルに関われるなら(体重は)死ぬ気で落とさせていただきます」っていうのは言わせていただいて、自分の中ではイレギュラーな動きにはなっているんですけど、それも受け止めて次に進もうと思っています。
–前にも「53kgにはこだわりがある」という風に仰っていましたけど、デビューして階級を落とすのは初めてですか?
棚澤 ずっと53kgだったので初めてです。アマチュアも55kgでやっていたので、今回初めての挑戦って感じですね。
–今のところまだ1週間ちょっとありますが、減量は順調ですか?
棚澤 しっかり動けますしパワーも出ていて、体重の落ちもいつもより早く余裕を持ってやっているので順調です。ここからどういう落ち方をするのかはまだ分からないんですけど、いつも通り53kgまではすんなり落ちてくれるかなと思うので、そこからは自分の体調次第だと思っています。
–元々53kgの時は減量幅的にはキツくはなかったですか?
棚澤 7kg〜10kgくらい落としていたので、大変なのは大変でしたね。でも53kgまでは落とせるので、余裕を持って期間が長ければ51.5kgも落とせるって事なので。そこからどうなのかなって感じはあります。
–ここからはまた未知の状態で、手探り状態でも落としていくという感じですね。
棚澤 そうですね。
–前回の8月のトーナメントでは1日に2試合戦いましたが、ワンデートーナメントを経験してみていかがでしたか?
棚澤 ワンデートーナメントというのが、プロではあまりないのでアマチュアでしかないじゃないですか。素足っていう状況と3分3ラウンドをちゃんと実力のあるプロとやるっていうのは、自分が思っている以上にすごく過酷で、スタミナじゃないメンタルの部分が削れていく感じがしましたね。自分との戦い的な部分がありました。
–どちらかというと、1戦目より2戦目の方が動きが良くなったように見えたのですが、その辺りはご自身でどう感じましたか?
棚澤 まさに仰る通りです笑。
–1試合目の方が硬さがあった感じですか?
棚澤 最初に何回か良いのが当たったりして、「いけるわ」と思っちゃったら硬くなってしまったんですよね。やばいな、足使えてないなと思いながら「強くなって戻ってきます。」って言って裏に戻って、アップの時は足を使いながらすぐに修正して2戦目に臨みました。

–それは緊張していたっていう部分もあるんですか?
棚澤 1試合目は気分的に言えばちょっと楽しめてなかったのかもしれないですね。2試合目は浮いていたというか、ワクワクというか「よっしゃ、やったろう!」みたいな部分があったので、脱力できたかもしれないです。
–心のどこかで“勝たなければいけない”という気持ちはありましたか?
棚澤 それはあったので、楽しめていない部分があったのかもしれないです。
–その中で2戦目は国内軽量級で長いこと活躍してきている、麗也選手と対戦して勝ちましたけれども、この麗也選手と戦って勝ったという事は自信に繋がったのではないでしょうか?
棚澤 前回末國選手をKOして、末國選手が4位で麗也選手が5位だったじゃないですか。その時点で「自信持っていけ」って自分に言い聞かせていたんですけど、やっぱり長年やっている実力のあるベテランの選手なので、ここでまだ経験の浅い僕が勝てたっていうのは、自分がやってきた事は間違えていないというか、自分の考え方の答え合わせになったような感覚で試合ができました。
–その“GACHI!!”トーナメントを経て、今回51.5kgフライ級の王座決定トーナメントですけれど、オファーが来た時の心境はいかがでしたか?
棚澤 最初は「まじか」でしたけど「やったろう」っていう気持ちが先行していきましたね。“俺の日にしよう”っていう。
–同門の龍心選手が元々前チャンピオンとして巻いていたベルトですけど、そういう意味でも自分が取らなければいけないという思いは強いですか?
棚澤 龍心くんが持っていた事については正直あまり何も思っていないというか、自分には関係ないことかなと思います。それはあまり自分の中では強く印象にはないです。
–ここからさらにハイレベルな選手たちと戦っていく事になると思うのですが、1回戦で戦う数島大陸選手についてはどんな印象を持っていますか?
棚澤 とてもパンチとか攻撃が固そうな選手だなと思っていて、“過去1強い相手”と言っても過言ではないと思うので、しっかりリスペクトを持ってやろうと思っているんですけど、今の動きの感じを見ていて全然問題ないような感覚ではできているので、ここは体重を整えてしっかり動けるようになれば全然問題ないと思います。
–数島選手は前回の“GACHI!!”の映像を色々見て、「棚澤選手はRISEに推されている」みたいなことも仰っていましたけれど、それはどう捉えていますか?
棚澤 RISEがそうしたい選手になったのは僕なので仕方ないでしょう笑。だって僕は「推してください。お願いします」って言ってないじゃないですか。僕からしたらめっちゃ嬉しいし夢みたいな事なので、僕が持っていたとしか言いようがないです笑。そこに関しては感謝の気持ちしかないので、そういう魅力のある選手になってみろよと思います。
–棚澤選手がいじられているような映像がSNSなどで出ていましたが、知人や応援してくださっている方からの反響はいかがでしたか?
棚澤 やっぱりアホの印象がより強くなりましたね笑。ジムのタイ人のトレーナーとかも日本語があまり分からないんですけど、それでも僕がアホっていうことは知っているって言われました笑。
–それが棚澤選手の周りの方には染み付いてしまっているんですね。
棚澤 そうですね。なのでアホがバレて「嘘だろ?」みたいなリアクションはあまりないですね。皆んなもう分かりきっているので笑。
–「大空ならしょうがない」って感じなんですね。
棚澤 「やっぱり」みたいな感じですね笑。
–数島選手と試合をするにあたってどんな試合展開になると想像していますか?
棚澤 僕は53kgでフィジカルの強さは見せられていて、かつ下から上がってきているので、相手はメンタル的にもやりにくいと思うんですよね。僕は初めての両国なので気分はとても上がっていて、逆にウキウキでいってやろうかなと思っています。そこまで試合内容をいつも固く考えていなくて、こうしようみたいなことを常に引き出す練習をしていて、それを試合の時の自分に任せて出してもらうって感じなので、あまり展開がどうなるかとかは考えていないです。その時の一瞬一瞬の自分に任せてる感じですかね。
–例えばこの試合はこういう風に動いてこの技を狙ってというよりは、実際にゴングが鳴って自分の中でやってきたことを出すという形ですか?
棚澤 タイミングとかはその時の自分に任せて、何も考えてないわけではないんですけどめっちゃ頭を使ってます。でも練習ではそれを常に引き出せるように、練習では頭から体に移す練習をしているので、それを試合当日で自分がどうするかというのは、ある意味自分を信じて自分に任せています。

–そういう部分ではセコンドの声とかは試合中も冷静に聞き取れて動けているんですか?
棚澤 それは聞けています。そのセコンドたちの声をもとにいつも練習でスタイルを作っていっているので、そこはすぐ行動に移せます。とりあえずセコンドを信じてやってみるっていうのは本当に選手として大事だと思うので、同じチームとして信頼して、言うことを聞くというか自分で行動に移せるっていうのはすごく良いことだと思っています。
–その意識を普段からセコンドの声を聞いて、体がそれに反応できるような意識をしながらトレーニングをしているということですか?
棚澤 練習とかマスの時に、例えば蓮太くん(西岡)が後ろで「今これしろ」とか言ったやつをすぐやってみるっていう事を心がけています。
–トーナメントのもう1つのブロックでは、松本天志選手と塚本望夢選手が対戦しますが、どちらが勝ち上がってくるかは想定していますか?
棚澤 どうなんですかね。どっちも強い選手なので難しいですけど、松本天志くんが勝つんじゃないかなと想定しています。
–階級を落とすとスピード勝負になるくらい皆んな速い選手が多くなってくると思うんですけど、そのスピードに対応する自信はありますか?
棚澤 僕もタイ合宿に行かせてもらって龍心くんと手合わせさせてもらったんですけど、スピードはついていけてないこともないので、問題はないかなと思います。試合と練習っていうのは全然違う感じなので、正直やってみないと分からないっていうのが一つの意見ではあるんですけど。僕も一応軽量級の選手なので、スピードは問題ないと思います。
–両国国技館などの大きい会場で試合をするのは初めてですか?
棚澤 初めてです。
–数千人というお客様の前で試合ができるというのはどんな感覚ですか?
棚澤 楽しみですよ。それを夢見て小さい頃からやってきたので。後楽園ホールに立てるっていうのもすごく嬉しいことなんですけど、でっかい舞台に自分が立てるというのは、“見る番”じゃなくていろんな人に自分が“見せる番”がきたなって感じがしてもっと嬉しいです。
–逆に棚澤選手のことを初めてみるお客様もいらっしゃるとは思うのですが、棚澤選手のどんな所を見てほしいですか?
棚澤 人の気持ちを動かすのが好きで、僕の試合を見て「俺も頑張ろう」とか「私も仕事頑張るわ」とかそうやっていってくれるのがすごく嬉しいので、僕の試合を見て勇気をつけてくれたり挑戦する人が増えたりとか、そういう魅力のある選手になりたいので、やっぱり僕の気持ちとか熱さを見てほしいですね。
–じゃあ熱い試合を見せていくつもりでいるんですね。
棚澤 もちろん試合は勝ちますけど、勝つのは前提で勝っても負けても魅せられる試合にはするので、どんな結果であれKOでも判定でもっていう感じですね。
–最後にいつも応援してくれているファンの皆様にメッセージをお願いします。
棚澤 今回のビッグマッチはしっかりかますので、棚澤の日だったなって言わせるような試合をするので応援をよろしくお願いします。
